ゴン太郎 no 介護!

25年間での介護福祉士・ケアマネジャー・施設リスクマネジャーの経験を通して培った専門的知識・経験や持論を基に介護の情報を発信していきます。ご家庭で業務や施設教育に役立てて下さい。

もしもに備えてご家庭に!家族説明に備えて施設にも!『家で介護が必要になったとき』田中元

今回は田中元さんの著書『家で介護が必要になったとき』を紹介します。
ご家庭で普段の生活を送っている中で突然に訪れる身内の介護、未経験の分野で どの様にしていいか分からない状態、たとえるなら手ぶらで無人島に送られた状態に近いと思います。
そんな中その無人島の “地図”“ガイドブック” があれば どんなに助かる事でしょう、大袈裟に言えば今回紹介するこの本は ご家庭の介護に関してそんな一冊ではないでしょうか。
ご家族はもとより そんなご家族を迎え入れる福祉従事者にとっても家族説明に対してのお手本として役立つ一冊になっていると思います。

 

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 この本の説明

Amazon紹介欄

内容(「BOOK」データベースより)

介護サービスの使い方は?サービスの利用料は負担できるのか?介護サービスを行なう専門職とどうやりとりすればいいのか?家族としてはどのような心がまえでかかわればいいのか?などの「はじめての介護」で出会う不安や疑問を、一つずつやさしく解説。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

田中/元
昭和37年群馬県出身。介護福祉ジャーナリスト。立教大学法学部卒業。出版社勤務後、雑誌・書籍の編集業務を経てフリーに。主に高齢者の自立・介護等をテーマとした取材、執筆、ラジオ・テレビの解説、講演等を精力的におこなっている。現場を徹底取材した上での具体的問題提起、わかりやすい解説には介護現場のプロはもとよりマスコミの間にも定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

この本を読んでみて

内容構成

 本書は序章を含め1章から7章までの8章での構成で出来ています。

中身は、最初の項目の ”序章-① ある日突然、家で介護が始まった!さあ、どうする?” から始まり段階的に初めて介護に携わる家族に対しての必要な情報が書かれています。

 

序章『家での「介護」はどう進めたらいいの?』
  • 脳梗塞で入院、退院後に「在宅で介護」というケース””高齢夫婦で介護を進めて介護負担が高まるケース”などタイプの違う5つのケースを紹介。
  • 5ケースそれぞれの介護生活の始まりから導入までの流れが書かれている。

 

1章『まずは「相談」、どこに?どうやって?』
  • 介護生活 最初のアプローチとして どの機関に相談をどの様にすればいいのかを分かり易く解説。
  • ”上手に相談する方法”と題し ”その①” から ”その④” まで 相談にあたっての ”備え” や ”準備” を丁寧に説明。

 

2章『介護保険のしくみ、使い方を理解しておこう』
  • 介護保険の仕組みを分かり易く丁寧に解説。
  • 介護保険で使えるサービス” ”ケアマネジャーについて” ”ケアプランの内容” など これも分かり易く丁寧に解説。

※2014年 初版発行の為、4年ごとの制度改定での自己負担割合など変更あるものの、必要なポイントや概要は大きく変わっていないと感じました。

 

3章『介護保険サービスを上手に使うための心得とは?』
  • 2章での基礎知識を踏まえ実際の介護サービスを利用する上でのコツや注意点を分かり易く説明。 

 

4章『介護保険だけでは足りない!そんな時どうしたらいいの?』
  • 介護保険外のサービスの選び方・使い方を分かり易く解説。 

 

5章『いろいろな介護資源を使いこなすための心得』
  •  3章同様に4章での介護保険外の基礎知識を踏まえ保険外の介護資源の知識を深堀りして説明。

 

6章『家で介護を進めるための家族としての心得』
  •  日々の介護に対しての気を付けるべきポイントの説明。
  • ”介護倒れにならない健康管理”と題し、長期間 介護を行う為の健康管理に対してのポイントやコツの紹介。
  • 緊急時に備えての対応の紹介。

 

7章『「住み替え」が必要になったときにはどうする?』
  •  本人の意向を十分に考えた先の住み替えについて、考え方から相談方法選定方法など分かり易く解説。

 

 おすすめポイント

ポイント①『介護が必要になった時から段階的に説明してあり、流れで理解できる』

 “介護が必要になる経緯”
   ⇓
  “相談”
   ⇓
 “介護保険
   ⇓
介護保険外のサービス”
   ⇓
“継続的に介護ができる環境作り”
   ⇓
“この先に来るかもしれない住み替え”

と、

一連の流れに沿って時系列で説明されており とても分かり易い印象でした。

 

ポイント②『とにかく説明が分かり易い!』

 流れだけでなく、言い回しも分かり易い上に

地域包括支援センターはどんな所なのか” などの専門用語の細かい説明

”見学が難しい訪問系のサービスを選ぶ際のコツ”など実際の困り事の対処法やコツの紹介

など、

全てにおいて介護の世界を知らないご家族さん目線で書かれており とにかく分かり易かった!

 

ポイント③『”1秒介護”で拾い読みも』

 各内容ごとに ”一秒介護” なる 簡潔に説明された図がついており、読み上げた文章の復習・補足は元より ”熟読する暇がない人” や ”簡単に拾い読みしたい人” にはこの ”一秒介護”を流し読みするだけで おおよその内容が理解できるのではないかと思いました。

 

まとめ

  • はじめての介護で出会う不安や疑問をやさしく解説した”介護のガイドブック”
  • 分かり易い言い回しは介護従事者にとっても勉強になる。

本書はタイトルの ”家で介護が必要になったとき” と書かれている通り専門職に向けというより ご家族に焦点をあて書かれており、言い回し内容が分かり易く 介護知識が少ないご家族が読んでも十分理解できる内容になっていました。

又、介護従事者にとっても 家族への分かり易い説明能力も被介護者を支援する立派な介護技術であり、家族へ向けて説明する際の参考知識として非常に役立つ一冊ではないかと感じました。

 

今回紹介した本はこちらです。