ゴン太郎 no 介護!

25年間での介護福祉士・ケアマネジャー・施設リスクマネジャーの経験を通して培った専門的知識・経験や持論を基に介護の情報を発信していきます。ご家庭で業務や施設教育に役立てて下さい。

対人援助で最も活用性の高い技術を身に付けてみませんか?『承認する・勇気づける技術 便利帖』大谷佳子

今回は、大谷佳子さんの著書『承認する・勇気づける技術 便利帖』を紹介します。 

 ケアなどの対人援助を行う上で避けて通れないモノがコミュニケーション能力であり 更に 職員間で円滑に業務を行う上でも欠かせないモノでもあります。

そのコミュニケーション能力の中でも 実行頻度と実施効果が高い”褒める” ・ ”認める” スキルに焦点を当て 心理学に基づいた専門的知識を実行しやすく分かり易い形に変えて説明してあります。

スグに使えるコミュニケーションスキルとしてゲットしてみてはいかがでしょうか。

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 この本の説明

Amazon紹介欄

誰もが褒められると嬉しいものです。
人から認められたら、自然と前向きになり、意欲もアップします。
ですが、単に「いいね」「すごいね」と言えばいいわけではありません。
ちょっと間違えると、逆効果になることだってあります。

ですが、ほんのちょっと、言葉の選び方・使い方を気をつけるだけで、
お互いにとってより良い結果が引き出せるようになります。

うまく相手を褒めたり承認したりできるようになると、
さまざまな支援に活用できるだけでなく、
職場内の人材育成への効果も期待できます!

■■■本書のポイント■■■

・心理学をベースとした、承認の技術をやさしく解説
・エコグラムを使ったタイプ別の承認方法も掲載
・心理学用語からも引ける
・演習用ワークシートもご用意
・ワークシートはWebにてダウンロード提供(会員登録が必要です)

■■■読者対象■■■

ソーシャルワーカー(社会福祉士精神保健福祉士)、
生活相談員、施設職員、ケアマネジャー、介護福祉士
ヘルパー、民生委員、児童委員、スクールカウンセラー
児童指導員・相談員、医療職・看護職、自治体職員、
カウンセラー、士業の方など。
新人の方はもちろん、スキルアップしたいベテランの方にも!

■■■著者について■■■

大谷佳子
Eastern Illinois University, Honors Program心理学科卒業、
Columbia University, Teachers College教育心理学修士課程修了。
現在、昭和大学保健医療学部講師。
認定看護管理者制度ファーストレベル教育課程、
サードレベル教育課程講師、認知症介護実践リーダー研修講師、
介護相談員養成研修講師。その他、医療、福祉、教育の現場の援助職を対象に、
コミュニケーション 研修及びコーチング研修、スーパービジョン研修などを担当。
主な著書に、
『対人援助の現場で使える 聴く・伝える・共感する技術 便利帖』
『対人援助の現場で使える 質問する技術 便利帖』(翔泳社)、
『基礎から学ぶ介護シリーズ利用者とうまくかかわるコミュニケーションの基本』
『介護の○と×シリーズ コミュニケーション○と×』(中央法規出版/共著)など。

この本を読んでみて

内容構成

(序章) 

活用方法を『本書の活用方法』の項目で、

  1. 読みものとして、一通り読む。
  2. 便利帖として、必要なときに参考にする。
  3. 学習書として、今のあなたに必要な技術を学ぶ。
  4. 研修のネタ本として、職場内研修で活用する。
  5. 自分自身の「ワークブック」として活用する。

と親切に5通りを 本書の使い方と共に紹介されています。

 

私は自分の現状と照らし合わせて”1” ”2” ”4”の活用方法で使っていこうと考えています。

 

第1章『もっと承認してみよう』
  • この章では、”承認”で必要な知識を マズローの欲求階層説のアルダファーのERG理論”ハーズバーグの二要因理論” など得てして小難しくなりやすい心理学の深層心理の分野の理論を分かり易く噛砕いて説明されています。
  •  各調査結果のデータを基に”承認”に関する効果の説明されてました。
  • 基本的な知識が学べる章になっている印象でした。

 

本章の中で印象に残った内容として、”認証上手になるためのテクニック” として ”気づく技術””伝える技術” の 2つのテクニックが基本にある事が書かれており、

確かに大まかな考えとして 大きく2分して考えると分かり易いな と感じました。

 

第2章『相手の存在を承認する方法』
  • この章から 第1章の知識を基に まずは基本的な ”存在を承認する技術” を5つ紹介されています。
  • 紹介された5つの技術のタイトルが 
    1. ”存在を承認しよう”
    2. ”気づかいの言葉をかけよう”
    3. ”表情やアイコンタクトで承認しよう”
    4. ”話に耳を傾けよう”
    5. ”待ってみよう”

  と題されており ”~しよう” と 行動に移しやすい内容になっていました。

 

本章の中で印象に残った内容として、挨拶は 相手の存在に気づき それを伝える存在承認の代表である事、無視や無関心は その人の存在そのものを否定することと同じであると書かれており、

挨拶をしない事は相手の存在承認をしていない事と同じであると 私自身 挨拶の重要性を再認識しました。

 

第3章『相手の強みを承認する方法』
  • この章では 更にステップアップして ”相手の強みを承認する技術” を6つ紹介されています。
  • ここで紹介された6つの技術のタイトルも 
    1. ”結果をそのまま伝えよう”
    2. ”具体的な行動を伝えよう”
    3. ”気持ちを伝えよう”
    4. ”褒めてみよう”
    5. ”任せてみよう”
    6. ”一緒に喜ぼう”

  ”~よう”と 行動的に説明がされていました。

 

本章の中で印象に残った内容としては、”強みの承認は警戒心を解くテクニック” として 質問形式からの会話から始めると ”出来ない事” や ”欠点” を責められている印象を与え警戒心を高めてしまう為、強みをしっかりと評価する事で警戒心を解いた上で本題に入ると良いと述べられており、

自分の面談を振り返ると 確かに冒頭から「困った事はないか」とか「悩み事はないか」とか 欠点に焦点を当てた質問をしていた様に思えた。

次回の面談では 早速 この手法を取り入れようと思いました。

 

第4章『相手を勇気づける方法』
  • この章では ”承認”としての技術が特に必要とされるケース ”相手を勇気づける技術” を5つ紹介されています。
  • 第2章・第3章と同様に 紹介された5つの技術のタイトルも
    1. ”変化を伝えよう”
    2. ”質問してみよう”
    3. ”リフレーミングしてみよう”
    4. ”感謝の言葉を伝えよう”
    5. ”応援していることを伝えよう”

  と行動的に説明がされていました。

 

第5章『相手のタイプに合わせて承認しよう』
  •  この章からは 各対象者に合わせて より効果的に ”承認” する為に4つタイプを紹介されています。
    1. 行動力・決断力に優れた”親分肌”タイプ
    2. 人の和を大切にする”いい人”タイプ
    3. 天真爛漫な”楽天家”タイプ
    4. 冷静沈着な”理論派”タイプ
  • 本書では あくまでも目安と書かれていますが、実践する上で基準となるモノがある事は とても助かるのではないかと思います。

 

第6章『承認上手になろう』
  •  この章では ”承認する側” として基準となる自分自身に焦点を合わせ5つのステップを紹介されています。
    1. ”自分を知る”
    2. ”知らない自分を知る”
    3. ”自分をあるがままに受け入れる”
    4. ”自分を承認する”
    5. ”自分の気持ちを表現する”

 

更にWebからワークシートもダウンロードできると 何から何まで親切にできていました。

 

おすすめポイント

ポイント①『現場にスグに活かせる内容になっていた』

 一つ一つの 手技・手法 の最後に ”成功例” ”失敗例” に加え ”援助者への例文” ”部下・後輩に対しての例文” ”同僚に対しての例文” が書かれており より具体的に捉えることができました。

 

ポイント②『専門的知識と実践技術とのバランスが良かった』

 知識どまりに なりやすい心理学的内容を一つ一つ実際のコミュニケーション場面を想定し丁寧に解説しており 心理学的な ”承認” のスキルを実践に展開しやすい印象でした。 

 

ポイント③『自己分析を最後に丁寧に解説してあった』

第6章内で ”承認上手になるためには、まず、自分で自分自身を承認できるようになりましょう” と述べられてました。

そして、自分自身を承認する為のプロセスを順を追って様々なツールを使い説明されていました。

 

対人へのアプローチの技術面に気が向きがちだが 自分から発するものとして自己に対してのアプローチは最も大事ではあるものの 最も見落としがちな視点だと気付かされました。

 

 まとめ

 ”おわりに” の内容の中にアメリカでは ”Good job”「よく やったね」 と同じ表現で使われている語句として ”I'm proud of you”「私はあなたを誇りに思う」との言葉を素敵だと感じました と書かれていましたが 本書で一貫した語られていた ”承認” としての基本的なマインドもその言葉に尽きるのでは と私は感じました。

自己のステップアップする材料として、

職員研修資料として、

使える1冊ではないかと思いました。 

 

 

今回紹介した本はこちらです。